エアネットサービスシステムは3名の開発者によって1992年に誕生し、30周年を迎えました。
開発当時の想い、状況など開発者の一人である岩井氏に話を聞きました。
当時から気象情報での遠隔監視というものはありましたが、空調機の点検は人手による現地での定期点検が主流であった時代において、遠隔監視システムは初めての取組でした。
サービスチェッカーの開発に携わり、空調機の運転データの取得が可能になったことで、社内で遠隔による診断技術の開発の要望が一気に増しました。当然の事ながら故障予知まで含んだシステムは前例がなく、お客様に満足していただけるサービス提供ができるか心配でした。
当時の空調機の運転データーを収集する監視端末(ローカルコントローラー:LC)はWindowsすら発売前のもので、現在のPCの1/100にも満たない性能しかありませんでした。
LC自体の機能に制限がある為、求められる性能の実現や、安定的に供給し、提供することにも苦労をしました。いくつもの会社に訪問して価格面や機能面について説明することを繰り返す中で、結果的に1社ご対応いただける協力会社を見つけ、共に改善に向け打合せを行いました。
一度組んだプログラムをやり直すには膨大な時間と工数が必要になります。
その点についてはプログラム設計の段階から慎重に協議を重ねました。
開発に携わった3名で空調機との通信関係、故障予知、LCと役割を分担して担当しました。定期的なミーティングでデーターの形式など、お互いの課題についてアドバイスし合って答えを出すといったことも多々ありました。
自社の臨海工場と金岡工場にシステムを導入して、求められている機能が正しく動作するか調査を行いました。同じ空調機が何度も壊れ、予想以上に発報するといった不具合を初期段階で見つけることができ、さらにパラメーターの設定を試行錯誤することで必要な内容だけ発報するように修正しました。
空調機の故障予知性能をバージョンアップする際、当初は現地に訪問しROMを交換することが必要でした。
一物件で訪問した現地のサービスエンジニアと半日以上電話を繋いで対応することや、新機種が発売されるたびに細かい調整が必要で数週間調整をしていました。
故障予知のダウンロード機能リリース後は現地に訪問することなく、センターサーバーより一括してバージョンアップできるようになりました。
エアネットサービスシステムは21ヵ国、空調機は11万台の実績になりました。※1 ご採用いただいたお客様はもちろん、サポートしてくれたサービスエンジニアにも感謝しています。
今後も機能拡充に伴い、診断機能や予知機能の向上に取組み、お客様が喜んでいただけるサービスの開発に貢献していきたいと思います。
※1. 2023年6月時点