設備保全とは?業務用エアコンで欠かせない保全業務の重要性を解説

ビルのメンテナンス管理者の業務は多岐にわたり、ひとりでさまざまな業務を兼任しているケースも珍しくありません。そのため、設備の故障や不備などの実際に起きている問題に時間をとられ、保全活動は後回しになってしまうケースも多いのではないでしょうか。しかし、設備保全を後回しにすれば、ビル内で働く人に大きな影響がおよぶ可能性や、設備の交換が必要になれば、結果的に大きなコストや手間が発生する恐れもあります。
今回は、ビル設備のなかでも特に、業務用エアコンの設備保全について、概要や種類、目的や必要性についてご説明します。
設備保全とは?
設備保全とは、ビル内にあるさまざまな設備を、故障や不備なく維持していくために行う計画的な点検を指します。業務用エアコンでいえば、一般的な耐用年数は13年前後といわれていますが、その間に故障なく最大限の機能を発揮できるようにするための点検業務が設備保全です。
「保守」「メンテナンス」「修理」との違い
保全に近い言葉に、「保守」「メンテナンス」「修理」などがあります。
保全は、主に設備や機器が故障や不備がなく長期間安全に使える状態にするために計画的に行う点検です。
保守とメンテナンスは、故障予知も含め設備や機器の異常・故障を早期発見し、迅速な対応をするための点検を指します。修理は、実際に発見された設備や機器の故障を修復することです。
つまり、保全が故障前の予防や改善を目的に行うものであるのに対し、保守・メンテナンスは、故障予知もしつつ、故障後の迅速な対応を主な目的としているのが大きな違いといえます。
保守やメンテナンスについて詳しくは、「保守点検とは?業務用エアコンの故障や不備に迅速に対応するためのポイント」をご覧ください。
設備保全の重要性と見落としがちになる理由
ビルメンテナンスの主な業務には、「清掃管理」「衛生管理」「設備管理」「管理サービス」「保安管理」などが挙げられます。ビルによっては各業務の担当者がいるケースもありますが、少人数ですべての業務をこなさなければならないビルもあります。
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が公開している、「ビルメンテナンス情報年鑑2022」によると、ビルメンテナンス業を手がける企業において、常勤従業員の不足は課題のひとつとされています。実態調査の結果を見ると、地区本部別の全体で64.8%が「不足」または「やや不足」と回答しています。
月商規模別で見ると、1,000 万円未満の企業が56.2%と最も低く、続いて1,000万円以上3,000万円未満の企業62.3%、1億円以上の企業68.5%。最も高いのが3,000万円以上1億円未満の企業で71.1%となっており、月商規模が大きい方が、人材不足の傾向にあるようです。
メンテナンス業務で人材不足が慢性化すれば、どうしても故障や不備が起きた後の対応が中心となり、設備保全業務は後回しになりがちです。
しかし、故障が起きる前に設備保全を徹底していれば、故障を未然に防ぐことができ、管理者にかかる負担も最小限に抑えることができます。少ない人数でも負担を軽減しつつ、ビル内の快適な環境を維持するために、設備保全は重要な業務だといえます。
こちらもあわせてご覧ください。

保守点検とは?業務用エアコンの故障や不備に迅速に対応するためのポイント
設備保全の種類
設備保全の種類は大きく分けて、「予防保全」「事後保全」「予知保全」の3つがあります。
予防保全
予防保全は、定期的な点検・清掃により、設備や機械の故障、劣化を予防するために行われます。具体的には、設備や機械ごとに設定されている耐用年数や耐用時間をもとに点検を行います。耐用年数や耐用時間が過ぎたら、故障していなくても交換することで故障や劣化を防止できるケースも少なくありません。
予防保全は、後述する事後保全に比べ、手間やコストがかかる方法ではありますが、故障リスクの低減が可能になるうえ、作業計画に支障をきたすことなく実行できるのがメリットです。また、故障した際に発生する修理代や、修理作業中に業務が停止するリスクを勘案すれば、長期的にはコスト削減につながる保全方法だといえるでしょう。
事後保全
事後保全は、設備や機械が故障したときに行われます。故障した時点で初めて対応をするため、予防保全のように定期的な点検・清掃を行う手間やコストがかからないのが最大の特徴といえます。また、業務に支障をきたさない程度の軽微な故障であれば、事後保全のほうが保全にかかるコストを抑えられるでしょう。
しかし、業務を停止せざるをえないレベルの故障が発生した場合は、復旧までに時間がかかるケースも多く、その業務に関連する作業計画の見直しが必要になります。長期的には手間やコストがかかる可能性が高い保全方法といえるでしょう。
予知保全
予知保全は、センサーやデータなどを用いて故障や劣化の兆候を予測し、事前に対応することです。故障が起きる前に保全する点は予防保全と同じですが、予防保全が常にすべての設備や機械を保全するのに対し、予知保全は劣化や故障の兆候があるものだけに対応します。
予防保全のように、故障していなくても設定した期限を過ぎたら部品を交換するといった手間やコストがかからず、効率的かつコストを抑えた保全が可能です。また、センサーやデータを用いることから、少ない人数でも保全作業が可能になる点でも、予知保全は優れた保全方法だといえます。
設備保全の目的と必要性
ビルメンテナンス業務のなかでも、特に業務用エアコンの設備保全を行う目的と必要性について解説します。
業務用エアコンの設備保全を行う目的
業務用エアコンの設備保全を行う目的は、業務用エアコンが異常を起こして停止したり、壊れたりするのを防ぐことです。また、故障しても停止している時間を最小限に抑えることや、新たな業務用エアコンに交換するまでの時間をできるだけ長くすることも、設備保全を行う目的のひとつといえます。
業務用エアコンの設備保全を行う必要性
ビル内で多くの人が利用する設備や機器の安全性や快適性を維持し、長期間にわたって快適に過ごせる環境を維持するために、業務用エアコンの設備保全は欠かせない業務です。
業務用エアコンはビル内にある設備のひとつであり、常に最大限の機能を発揮できるよう、しっかりと保全を行わなければいけません。
業務用エアコンのメンテナンスについて詳しくは、「エアコンの維持に欠かせないメンテナンスの重要性・メリットを解説」をご覧ください。
また、フロン排出抑制法により、フロン類を冷媒に使用している業務用エアコンについては、定期的な点検が義務付けられています。詳しくは、「知らないとまずい!業務用エアコンの法令点検の重要性」をご覧ください。
こちらもあわせてご覧ください。
問題が起きる前に設備保全を徹底し、万全なビル管理を
設備保全とは、ビル内にある設備や機器を、故障や不備なく長期間にわたって維持するために行う計画的な点検です。実際は、多忙や人材不足などの影響から、メンテナンス業務はどうしても事後対応となるケースが珍しくありません。しかし、故障してしまってからでは、もとの状態に戻す時間やコストが増大してしまい、管理者の負担がさらに増えてしまいます。
管理者の負担を軽減し、さらにビル内の快適な環境を維持するには、設備保全の徹底が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、エアネットサービスシステムです。ダイキンが30年積み重ねてきたIoT技術でお客さまの空調管理をサポートします。突発的な空調機の故障を防ぎ、万が一の際も素早い対応が可能です。
管理者の負担を軽減しつつ、設備保全を実行するためにも、
ぜひ、エアネットサービスシステムの導入を検討してはいかがでしょうか。
また、中長期での修繕・機器更新の予算化や、空調機の予防保全計画が可能な「アシスネットサービス」もあります。
あわせてご覧ください。