新冷媒のR32とは?
メリットや従来冷媒R410Aとの違い、注意点などを詳しく解説!
近年、エアコンの環境負荷低減が重要視される中、新冷媒「R32」が注目を集めています。従来の主流冷媒だったR410Aと比べ、地球温暖化係数が約3分の1と環境への影響が少なく、オゾン層破壊への懸念も心配ありません。また、エネルギー効率が高く、機器のコンパクト化も実現できるなど、数々の利点を持つR32は、経済的にも優れています。本記事では、このR32冷媒の特徴や従来冷媒との違い、メリット、注意点について詳しく解説していきます。
このR32は環境性能に優れていますが、微燃性という特性があるため、空調システムによっては安全装置の設置や定期的な点検が必要です。※具体的には、年1回以上の定期検査と5年ごとの検知器交換が義務付けられています。こうした管理の手間を軽減するため、ダイキンでは「エアネットサービスシステム」のオプションサービスをご用意しています。このサービスをご活用いただくことで、自動検査の実施や検知器交換時期の通知など、お客様の保守管理をサポートいたします。ぜひご利用ください。
※一定条件に基づき該当した場合のみ対応が必要です。
R32とは?
R32とは、環境負荷の低減とエネルギー効率の向上を両立した次世代冷媒です。 その特長は、オゾン層破壊係数(ODP)が0であり、地球温暖化係数(GWP)が675という環境負荷の低さにあります。ここでいうオゾン層破壊係数とは、従来の特定フロンR11を基準値1として、オゾン層を破壊する強さを数値化したものです。また地球温暖化係数は、二酸化炭素を基準値1とした場合の温室効果の強さを示す指標となります。以下の図からもわかるように、R32は環境性能におい優れた特性を持つ冷媒といえます。
引用「IPCC第4次評価報告書」温暖化係数(GWP)100年値
※温暖化係数(100年値):2,090(HFC410A)と675(HFC32)の比較。
さらに、R32は従来の冷媒と比べてエネルギー効率が高く、少量の使用でも同等の冷却効果を発揮できます。この特性により、空調機器のコンパクト化も実現可能です。
R32の指定製品化
フロン排出抑制法の改正により、低GWP冷媒への対応が必要となる「指定製品制度」が段階的に設定されており、R32は指定製品化されています。2025年4月には、ビル用マルチエアコンも対象となっており、低GWP冷媒に対応しなければ新設用製品のメーカーからの出荷ができません。そのためR32を使用する必要があります。
ダイキン工業は、世界で唯一冷媒とエアコンの両方を自社開発・生産しています。環境負荷の少ない冷媒の採用により地球温暖化防止に貢献したいという強い思いと上記の法令遵守の観点から、ルームエアコンだけでなくVRV7などビル用マルチエアコンにも新冷媒R32を採用しています。
R410Aとの違い
R32とこれまで主流冷媒であったR410Aの大きな違いは、その組成と環境影響度にあります。
R410AはR32とR125の混合冷媒であるのに対し、R32は単一冷媒です。
環境影響度では、両者ともオゾン層破壊係数はゼロですが、地球温暖化係数はR32が675に対してR410Aは2,090と、約3倍もの違いがあります。
また、R32は単一冷媒であるため追加充填が可能で保守が容易である一方、R410Aは混合冷媒のため一度すべて抜き取る必要があり、メンテナンスコストが高くなります。ほかにもR32は熱伝導率が高く、約30%少ない充填量で同等の性能を発揮できるため、経済面でも優れています。
一方で燃焼性において、R32は微燃性があるのに対し、R410Aは燃焼性が全くないことが特徴です。
| R32 | R410A | |
|---|---|---|
| 組成 | 単一冷媒 | 混合冷媒 |
| オゾン層破壊係数 | 0 | 0 |
| 地球温暖化係数 | 675 | 2090 |
| 充填方法 | 追加充填 | すべて抜き取り再充填 |
| 熱伝導率 | 高い | 低い |
| 燃焼性 | 微燃性 | 不燃 |
R32が注目される理由
深刻化する地球温暖化問題への対応として、空調機器の冷媒は大きな変革期を迎えています。
1987年のモントリオール議定書により、それまで冷媒物質として利用されてきたCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の全廃が決定され、先進国では2020年までにHCFCをほぼ全廃、新興国でも2030年の全廃に向けて転換が進められています。
このHCFCに代わり、2000年前後から空調機の冷媒はオゾン層破壊係数がゼロのHFC(ハイドロフルオロカーボン)への代替が始まりました。
しかし、HFCも温室効果ガスの一つであることが判明し、1997年に採択された京都議定書において排出抑制の対象となりました。このような背景から、HFCの中でも地球温暖化係数が従来の3分の1と低く、エネルギー効率にも優れたR32が、次世代の環境配慮型冷媒として世界的に注目を集めているのです。
R32のメリット
今注目を集めているR32の主なメリットとして以下のような点が挙げられます。
- 環境配慮に優れている
- 蒸発潜熱が大きい
- 熱伝導率が高く効率性が高い
- 安全性に優れている
前述の通り、R32は従来冷媒と比較して地球温暖化係数が約3分の1と低く、オゾン層破壊係数もゼロであるため、環境への負荷を大幅に抑制できるという大きなメリットがあります。
また、蒸発時に周囲から熱を奪う量(蒸発潜熱)が大きいという特性を持つため、少量でも十分な冷却効果を発揮します。これにより機器のコンパクト化が可能となり、設置や管理にかかる手間やコストの削減につながります。さらに、熱伝導率も従来冷媒のR410Aと比べて約40%高く(R32:115 mW/(m・K)、R410A:81 mW/(m・K))、より効率的な冷却を実現します。
安全性の面でも、国際規格(ISO817)において冷媒の毒性はA(低毒性)とB(高毒性)に分類されており、R32はAの低毒性グループに属しています。そのため、万が一の漏えい時でも人体への影響は軽微で、高い安全性を備えた冷媒として評価されています。
R32の注意点
上記のように環境にやさしいメリットがある一方で、以下のような点には注意が必要です。
微燃性がある
前述したようにR32は国際規格でA2L(微燃性)に分類される冷媒です。従来のR410Aが不燃性であったのに対し、R32は特定の条件下で燃焼する可能性があります。そのため、設置・メンテナンス時には火気の使用を避けるなど、適切な取り扱いが必要です。
また、「部屋の体積」や「空調システムの総冷媒量」によっては安全装置の設置・点検などの安全対策を講じる必要があります。
具体的には、冷媒量の制限もしくは、かくはん装置の設置、機械通風装置の設置、遮断装置の設置に加えて、検知警報装置の設置を行わなければなりません。さらに検知警報装置については、回路検査を1年に1回以上、漏えい検知器の交換を5年に1回は実施する必要があります。
この安全対策は企業にとって大きな手間となりやすいため、専門業者に委託することで負担軽減や本来業務に注力することが可能です。
R32の安全対策を簡単にする「エアネットサービスシステム」がおすすめ!
R32冷媒は環境に優しい反面、その微燃性から適切な安全対策が法的に義務付けられています。この安全管理の負担を大きく軽減するのが「エアネットサービスシステム」です。
エアネットサービスシステムとは、お客様の空調設備を24時間365日体制で遠隔監視するサービスです。この基本サービスに加え、R32冷媒指定製品化に伴う安全対策をエアコンのプロであるダイキンが専門的な立場からサポートします。
具体的には以下2つのサポートを実施します。
回路検査自動化サービス
検知警報設備設置後は、1年に1回以上安全対策のために回路検査を行う必要があります。エアネットサービスシステムでは、この回路検査を安全対策設備の遠隔検査機能を用いて自動で実施します。検査結果も自動で連携され、同時に点検台帳も自動作成するため、管理業務を効率化します。
漏えい検知器の交換
フロンの漏えいを検知する漏えい検知器は5年に1回交換しなければなりません。つい失念しそうになりますが、オプションサービスを利用していれば、検知器交換時期がリモコンに表示され、ダイキンから詳細について連絡が入るため、交換忘れの心配がありません。
この2つのお役立ちサポートにより、以下のように検査工数を大幅に削減し、省力化にも貢献します。
ほかにもオプションサービスだけでなく標準サポートとして、空調設備の突発的な故障を予防する「故障予知」や万が一の際にも遠隔で応急処置を行う「遠隔応急運転+」、シーズン前の遠隔点検、さらに省エネ大賞を受賞した「遠隔自動省エネ制御」では遠隔で最適なエネルギー消費量になるようにAIが自動制御を行うため環境配慮・コスト削減に役立ちます。
このように安全対策の工数削減につながり、管理業務の効率化、さらには省エネも同時に実現する「エアネットサービスシステム」が強くおすすめです。ぜひこの機会にご利用ください。
環境にやさしいR32の利用には安全対策が不可欠!
R32は、地球温暖化係数が従来冷媒の約3分の1という環境性能と、優れたエネルギー効率を兼ね備えた次世代冷媒です。少量でも高い冷却効果を発揮し、機器のコンパクト化も実現できる優れた特性を持っています。一方で微燃性という特性があるため、安全装置の設置や定期的な点検が必要となります。ただし、ダイキンの「エアネットサービスシステム」のオプションサービスを活用することで、検査の自動実施や検知器交換時期の通知など、必要な安全対策を効率的に実施することができます。この機会にぜひ、ご利用ください。





























































