ビルも脱炭素化へ!
脱炭素の基礎知識と必要性、メリットについて

脱炭素化社会や脱炭素経営、カーボンニュートラルという言葉が徐々に浸透してきました。
脱炭素化とは温室効果ガスの排出を抑え、地球温暖化による被害を最小限に抑えようという取り組みです。
脱炭素化は企業が主体的に関わらざるを得ない重要な課題であり、オフィスビルにおいても脱炭素化が
求められています。同時に、新しい価値を作り出す機会でもあります。
この記事では、誰もが避けては通れない脱炭素化実現に向けて、基礎知識やオフィスビルにおける
取り組み方などについて解説します。
脱炭素とは?
そもそも脱炭素(カーボンニュートラル)とはどういうものなのか、基本的なことを紹介します。
脱炭素が注目されたきっかけ
脱炭素が注目されるようになったきっかけは、2015年12月にフランス・パリで開催された
COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)です。
「世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」を目的とした
パリ協定が採択されたことで、脱炭素化の動きが本格的に稼働しました。
パリ協定では各国が最大限の努力だと思える目標を設定し、それを5年ごとに国連の場において世界各国からのレビューを受けて、
再提出することになっています。
このパリ協定を受けて、日本政府は2020年10月「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、
カーボンニュートラルを目指す」と宣言し、日本国内においても脱炭素化社会に向けて、かじを切ったのです。
脱炭素が注目される背景
脱炭素化社会を目指す動きが世界的な流れとなった背景には、世界の平均気温が1850~1900年と比べると約1.1℃上昇しており、
今後さらなる上昇が予測されていることと、各国で頻繁に気象災害が起こっていることが挙げられます。
気象災害の要因といわれている二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは、経済活動・日常生活によって排出されていることから、
国や自治体あるいは大手企業に限らず、すべての人に関わる問題です。健康的な社会生活および経済活動と、次世代につなぐ
持続可能な環境を両立させるためには、あらゆる場面で主体的に取り組むことが必要です。
オフィスビルにおける脱炭素化
さまざまな場面で脱炭素化への取り組みが求められますが、ここではオフィスビルにおける脱炭素化について紹介します。
ZEBで脱炭素
ビルにおける脱炭素に向けた取り組みのなかでも、Net Zero Energy Building(ZEB)が重要視されています。
ZEBは、快適な室内環境と建物で消費する年間の一次エネルギー収支ゼロをかなえることを目的としたもので、
まさに「オフィスビルの脱炭素化」です。このZEBで期待されるエネルギーの収支ゼロとは、省エネによって消費エネルギーを減らし、
創エネによって使用する分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味ゼロにすることを意味しています。
ビルの脱炭素化というと、最新技術を取り入れたビルを建てなければならず、大企業でないと不可能と考える人もいるかもしれませんが、
既存ビルのZEB化も可能です。
実際、環境省がまとめた「脱炭素化の方向性を持った具体的な取組事例集」に、既存建物のZEB化が紹介されています。
その事例では、快適性に対する考え方そのものを見直す、照明の省エネ、外壁の省エネ、空調の省エネなど、ステップを踏みながら進めていくことで、
最終的にはエネルギー収支がプラスに転じるほどの変化を実現しました。既存建物を壊して作り変えるスクラップ&ビルドではなく、
既存を生かしながら機器の交換や適切な修理、メンテナンスを行うこともZEB化につながります。
なお、AIやIoTを活用し、照明や空調設備を一元で管理、制御するシステムを備えたビルのことをスマートビルディングと言います。
スマートビルディングでも大きな省エネ効果が期待できます。
詳しくは、「管理の効率化を実現するスマートビルディングとは?メリットと課題を解説」をご覧ください。
ZEBによるメリット
ZEB化することで、脱炭素化社会への貢献以外にも下記のようなメリットが得られます。
- 空調の省エネ化による光熱費削減
- 快適性を見直すことで、顧客や従業員の快適性、生産性、集客力の向上
- 企業の環境対策が評価される時代において、需要増加による不動産価値上昇
- 環境問題に積極的に取り組む企業として、ブランドイメージの構築
- 創エネによる災害時などのリスク対応強化
- 近隣住民の避難先としての活用
オフィスビルをZEB化することは、脱炭素への取り組みになるだけではありません。光熱費削減といったコストダウンはもとより、
お客さま、社員の満足度や不動産価値上昇、有事の際の対応強化など、さまざまなメリットを享受できます。
こちらもあわせてご覧ください。

管理の効率化を実現するスマートビルディングとは?メリットと課題を解説
ダイキン工業の脱炭素への挑戦
空調機器と冷媒の両方を製造する世界唯一のメーカーであるダイキン工業は、地球環境に対しての社会的責任を果たすため、
2050年に温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す「環境ビジョン2050」を策定しました。
バリューチェーン全体で貢献
当社は製品の開発・生産だけでなく、販売、使用、破棄・リサイクルまでを踏まえ、カーボンニュートラル実現に向けた
さまざまな取り組みを行っています。例えば、工場IoTプラットフォーム活用により、開発・生産時の温室効果ガス排出量の削減を実現しました。
また、さらなる気温上昇が見込まれるなか、世界的に増え続ける空調需要と使用時の消費電力の抑制、適切な省エネ基準のない新興国での
エアコン流通問題も重要です。当社は各国各地の状況や課題に応じて、政府や国際機関、各機関などと連携・協力して、
必要な制度・仕組みづくりを進めています。
カーボンニュートラルに生かす、空調技術
長年、空調メーカーとして技術を磨き続けた当社には、カーボンニュートラルに貢献できる空調技術があります。
- 50%以上の省エネ効果があるインバータ技術
- インバータ | ダイキンの空気の技術
- 現行冷媒に比べて地球温暖化への影響が小さい低温暖化冷媒
- CO2排出量を大幅に削減できるヒートポンプ技術
独自の空調技術に加えて、一般社団法人環境共創イニシアチブが認定している「ZEBプランナー」の資格を保有しています。
ZEBプランナーとは、ZEB化実現に向けた相談窓口を持ち、建築設計、コンサルティングなどの業務支援を行うことができる
事業者の証しです。これによりZEB化に関する相談から現状診断、補助金申請、設計、工事、アフターサービスまでトータルでの対応が
可能です。ご相談は下記より承ります。
脱炭素化への第一歩に空調管理の最適化を
脱炭素化社会の実現は2015年、COP21で採択されたパリ協定で世界の共通目標となりました。
次の世代も健康で安全な社会を送り続けるためには、脱炭素は避けられません。企業が脱炭素化に取り組む際に検討したいのが、
オフィスビルの脱炭素化であるZEBです。
ZEB建設やZEB化は膨大な資金と時間がかかりそうでハードルが高いと感じるかもしれませんが、省エネ効果の高い製品に買い替える、
エアコンのメンテナンスを適切に行うといったことも、ZEB化への取り組みであり、脱炭素につながります。
空調機メーカーとして豊富な実績がある当社には、IoT技術を取り入れた空調管理システムがあります。
遠隔管理できるIoT端末を室外機に取り付けるだけで、修理記録もサーバーで一括管理できる「アシスネットサービス」で、
メンテナンス業務をサポートします。また、「エアネットサービスシステム」ではIoT技術を活用した遠隔監視で空調機の運転データを収集・解析した
独自のオンライン診断によって、機器の劣化や異常発生を早期に発見、突発的な故障を防ぎます。
今や、脱炭素化に向けたフロン法の順守や省エネ施策立案のためのデータの見える化が可能なIoTサービスの導入が必要不可欠な時代となっております。