知っているようで知らない、
空調管理システムの役割と重要性とは?

オフィスビルや商業施設などで欠かせない「空調管理」。空調管理を行うシステムについて、室温を調整し、空間を快適にするためだけのシステムだと思っている人もいるのではないでしょうか。実は空調管理システムは快適性の向上のみを目的にしたものではなく、そのビルや施設に入居する企業の生産性にも影響する重要な存在です。
本記事では空調管理システムの具体的な役割や重要性、メンテナンスについて解説します。
そもそも空調管理システムとは?
そもそも空調管理システムとは、どのようなものを指すのでしょうか。役割と種類を紹介します。
空調管理システムに必要な役割
空調は「空気調和」を意味しており、「空気調和」は温度・湿度・空気清浄(換気)・気流の4つの要素から成り立ちます。
この4つの要素すべてをコントロールするためのシステムが、空調管理システムです。
例えば、空調管理システムの代表格のイメージがあるエアコンの機能は「空気調整」であり、温度や湿度は調整するものの、
汚れた空気を新鮮な空気に入れ替える換気の機能は備わっていないのが一般的です。そのため厳密には、単体では空調設備とは言えず、
換気設備と併用することで空調管理システムとして機能します。
空調管理システムの基礎知識については、
「空調設備とは?意外と知らないエアコンとの違いや注意点」でもご紹介しています。
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空調管理システムの種類
空調を管理する設備は、まず対人用の「保健空調」と、商品などの品質管理、動植物の生育管理用の「産業空調」に分類されます。
また、次の2種類の方式があります。
中央空調方式
建物全体を一カ所で管理制御するシステムで、熱源機器を機械室などに集約して配置し、例えば、水配管で冷温水を空気調和機に送水する方式が従来の空調システムの主流でした。最近は、主に大規模施設で採用されています。
管理者側にとっての代表的なメリットは、一元管理ができること。入居する企業にとってのメリットは、オフィスビルの稼働時間内の空調使用料が通常共益費に含まれることが多いため、多くのケースで経費節減できることです。
個別空調方式
各フロアや部屋に空調設備を設置し、各々で電源のON・OFFや温度調節を行うシステムで、室外機・室内機とそれらをつなぐ冷媒配管(液管とガス管)で構成されており、主にビル用マルチエアコンで用いられています。
室内機ごとに管理でき、こまめな調整ができるため、運用の仕方によっては省エネにつなげられる点がメリットです。
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空調設備とは?意外と知らないエアコンとの違いや注意点
空調管理システムの重要性
店舗やオフィスなどのほとんどで空調管理システムが導入されています。改めて、その重要性を考えていきましょう。
一般的に、空調管理の第一の目的は空間の快適性を確保することです。その中で過ごす人が快適でいられるよう、適切な温湿度を保った空間にするために、空調管理システムは重要な存在です。もちろん室内の空気をきれいに保つために換気することも、空調管理システムの役割です。
さらに、空調は作業効率・生産性にも影響します。
店舗やオフィスにおいて空調管理システムは、売り上げをも左右する可能性のある、非常に重要な存在です。
空調は作業効率・生産性に影響する
快適性の維持以外に、空調管理の目的には作業効率・生産性の向上があります。
アメリカ・コーネル大学の人間工学研究において、オフィスの温度が20度から25度に上がるとタイピングミスが44%減るなど、
室温の変化とミスの増減が関連していることが明らかになりました。
「室温が低いと人件費が10%上昇する可能性がある」とも示唆されています。
また、日本の産業安全研究所が行った特別研究「環境温度の違いが作業パフォーマンスに及ぼす影響」でも、
「周囲からの情報を聞き逃してしまうエラーが、温度が上がるにつれて、また作業時間が長くなるにつれて多くなる」といったように、
室温の変化が注意力に影響を及ぼすことが言及されています。
企業において業務効率・生産性の向上は、業種にかかわらず最優先で取り組むべき課題です。
コスト削減のためだからと、エアコンの温度を極端に低くしたり高くしたりすると、社員が集中力を失い、生産性の低下を招きかねません。
また、節約のために空調管理システムのメンテナンスを怠ると、不具合が発生して適切な空調を維持することができず、
社員が集中力を失って生産性が下がる可能性があります。加えて、膨大な修理コストがかかってしまう恐れもあります。
空調管理システムは、作業効率・生産性向上のためにも重要な存在です。
空調管理システムにはメンテナンスが不可欠
空調管理システムを常に正常に稼働させ、適切な空調管理を行うためにはメンテナンスが必要です。
正しくメンテナンスを行うことで、作動効率の維持・向上や物理的耐用年数の延長などが期待できます。
また、仮に異常があった場合でも軽微な段階で見つかり、大掛かりな修繕を回避できる可能性が高まるでしょう。
それにより、長期間システムが稼働せず適切な空調が保てないといった状況を防ぐことにつながります。
また、そもそも空調設備の種類によっては、フロン排出抑制法により定期的なメンテナンスが義務付けられているものもあります。
その場合、メンテナンスを怠れば、法に抵触し、罰則が科せられる可能性があるということになります。
ほかに「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」や厚生労働省による「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」においても、空調設備のメンテナンスに関するさまざまな規制が設けられています。
法令を順守し適切な管理を行うには、専門的な知識が必要です。フィルターなどの簡易な清掃は自社内で実施するにしても、
本格的なメンテナンスを行うには、専門知識を有し、実績のある外部サービスを利用するのがおすすめです。
ちなみに耐用年数には、設備の物理的な寿命である「物理的耐用年数」のほかに、減価償却費の計算などに使う「法定耐用年数」があります。
詳しくは、「業務用空調設備の耐用年数は?寿命をのばす方法や減価償却費についても解説」をご覧ください。
フロン排出抑制法については、「知らないとまずい!業務用エアコンの法令点検の重要性」が、フィルターや外装などを自分で清掃する手順については、「業務用エアコンを自分で掃除する方法は?ポイントや業者に依頼すべきケースなどを解説」が参考になります。
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重要な役割を担う空調管理システムを
適切にメンテナンスしましょう
暑さ、寒さをやわらげて快適な空間に調整する空調管理システム。作業効率や生産性などにも関わり、店舗やオフィスにとっては重要な存在です。
システムを常に正常に稼働させるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。法令を順守して適切なメンテナンスをするには、外部サービスの利用も必要になってきます。
ダイキン工業では、メンテナンス業務に関する2つのサービスを提供しています。
ひとつめが「アシスネットサービス」です。IoT端末を室外機に取り付けて業務用空調設備の運転データや修理記録などを収集・一括管理することで、
管理者のメンテナンス作業を強力にサポートします。
そして、故障予知や遠隔での点検、復旧、応急運転などを行うことで、万が一の際にも空調設備の停止期間を大幅に軽減する
「エアネットサービスシステム」もあります。もちろん法定点検にも対応しているので安心です。