メンテナンス業務にIT技術を活用するメリット・活用事例から導入方法まで

インターネットの普及やIT技術の進化により、さまざまな業種で効率化や生産性向上が実現しています。メンテナンス業務においてもIT技術の活用が進んでいます。ただし、目的や用途を明確にしないままIT技術だけを取り入れても、課題解決にはつながりません。そこでビルメンテナンス業務において、IT技術を活用することの重要性やメリットを見たうえで、実際に活用するための方法についてお伝えします。メンテナンス業務を多店舗にわたって行っている方には、特に参考になるのではないでしょうか。 ぜひご覧ください。
メンテナンス業務にIT技術が活用されるようになった背景
昨今メンテナンス業務にIT技術が活用されるようになった背景には、主に次のようなことがあります。
IT技術の進化
従来、メンテナンス業務は人の目と手を使って行うのが当たり前でした。しかし、近年のIT技術の進化により、メンテナンス業務でもITを活用した業務効率化や生産性向上が実現するようになっています。例えば遠隔監視による異常検知や復旧、応急運転など、幅広くメンテナンス業務に活用できるほどにIT技術が進化したことが、大きな理由のひとつと言えるでしょう。
人材不足
少子高齢化によりあらゆる業種で人材不足が大きな問題となっていますが、メンテナンス業界も例外ではありません。しかもメンテナンス業務は点検や清掃、修理など多岐にわたり、限られた人数で対応しなければならないケースも少なくありません。それらの課題解決のためにIT技術の活用が進んでいます。
ファシリティマネジメントの必要性
長期にわたる安定した企業運営のためには、ファシリティマネジメントが重要と言われています。ファシリティマネジメントとは、企業が所有する土地や建物、設備、備品などのあらゆる物的資産を適切に、かつ戦略的に管理することをいいます。単なる施設管理とは異なり長期的な視野が求められ、より最適化できないかと、常に改善の余地を探っていかなければなりません。人材不足により、すでに日々のメンテナンス業務で手一杯の管理者もいる現在、適切なファシリティマネジメントが困難な状況である企業も多く存在します。
そのような現状を打破するひとつの手段がIT技術です。IT技術により、日々のメンテナンス業務だけでなく長期的な視野で見たベストなタイミングでの点検などが、管理者の手間や時間を奪うことなく可能となります。
ファシリティマネジメントについて、詳しくは「ファシリティマネジメントとは?定義と注目される背景、取り組み方について」をご覧ください。
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ファシリティマネジメントとは?定義と注目される背景、取り組み方について
メンテナンス業務にIT技術を活用するメリット
メンテナンス業務にIT技術を活用すれば、さまざまなメリットが享受できますが、なかでも大きいのは次の点です。
業務の効率化・省力化
例えばIT技術を活用した遠隔監視・操作が実現すれば、わざわざ現場に足を運ぶことなく、管理が行えるようになります。仮に多店舗を管理している場合でも、1カ所での集中管理が可能です。それにより、管理者の負担を大きく軽減でき、それに伴う手間と時間も大幅に削減できます。
以上のように業務の効率化・省力化につながることが、IT技術を活用する大きなメリットです。
業務の省力化について、詳しくは「省力化とは?ビルメンテナンスにおける空調管理を効率的に実現させるポイントを解説」をご覧ください。
メンテナンス業務の品質向上
IT技術による遠隔監視の実現により、人間の目視では確認できないような軽微な異常の検知も可能です。また、異常をリアルタイムで確認できるようになるため、迅速な対応が実現し、メンテナンス業務の品質向上につながります。
故障の早期発見・対応
24時間365日、設備の状態や稼働データをリアルタイムでモニタリングできます。その結果、設備の異常を早期に発見し、迅速な対応が可能です。人の目に任せるのと比較して見落としが少なく、故障の前段階での対応が可能になります。それにより、重度の故障が発生して業務遂行に大きく支障をきたすような事態を回避できます。
予知保全の実現
設備の点検結果や保守履歴などをデータベースに蓄積すれば、それぞれの設備が現在どのような状態であるかを常に把握できるようになります。
また、IoT技術を活用して、設備の稼働データを収集・分析することで、設備や機器の故障、部品交換などのタイミング予測が可能です。
通常、部品交換は故障後、または部品ごとに定められた交換時期に行われます。しかし、故障後では交換のために設備の稼働を止める必要があります。
また、交換時期であっても実際は問題なく動く場合もあり、どちらにしても、結果的にコスト増になってしまうでしょう。
しかし、部品交換のタイミングを予測できるようになれば、最小限の手間とコストでメンテナンスを実施できる予知保全が実現します。
予知保全について詳しくは、「予知保全とは?事後保全との違いや実施のメリットとポイントを解説」をご覧ください。
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メンテナンス業務にIT技術を活用した活用事例
メンテナンス業務にIT技術を活用するといっても、具体的にどのような形で活用するのかイメージが湧きづらい方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、メンテナンスのどの業務でITが活用できるのかについて、簡単に紹介します。
遠隔監視・操作
ビル内の設備や機器にセンサー、カメラを設置し、遠隔による監視や操作を行います。
これにより監視業務の集中管理が可能になるうえ、異常の早期発見、対応もできるようになります。
遠隔監視について詳しくは「【事例あり】遠隔監視とは?活用するメリットや導入ポイントを紹介」をご覧ください。
故障予測・エネルギー消費量の最適化
設備や機器に設置したセンサーやカメラから収集・蓄積したデータを分析し、設備の故障予測やエネルギー消費量の最適化などを行います。
これにより予知保全が可能になり、事後保全による設備・機器の停止リスク、予防保全による手間やコストの軽減が実現するでしょう。
AR技術による操作ガイド表示
デジタル情報を重ね合わせ、現実を拡張する技術であるAR(Augmented Reality)技術を用い、タブレットやモバイル機器に設備の操作ガイドを表示させます。これにより、熟練の技術者がそばにいなくても現場での操作をスムーズに行えるようになり、メンテナンス業務のミス防止や教育にかかる手間、コスト削減が可能です。
ロボットによるメンテナンス業務
IT技術の発達により、ロボティクス技術も発達しています。ビル内の高所や狭い場所にロボットを導入すれば、これまでは難しかった点検やメンテナンス作業もスムーズに行えるようになります。
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【事例あり】遠隔監視とは?活用するメリットや導入ポイントを紹介
メンテナンス業務にIT技術を導入する流れ
それでは、実際にメンテナンス業務にIT技術を導入する一般的な流れを解説します。
1. 課題の明確化
まずやらなくてはならないのは、課題の明確化です。作業の効率化、品質向上、コスト削減、安全性確保などメンテナンス業務における課題を洗い出し、IT技術を活用することでどのような改善が見込めるかを明確にします。
2. IT技術の選定
次に行うのは明確化された課題に対して、その解決策となるIT技術の選定です。IT技術の導入に際しては専門的な知識を要するため、多くの場合、自社内で行うのではなく外部のパートナーに依頼した方がスムーズに進むでしょう。
3. IT技術導入計画の策定
外部パートナーと共にIT技術導入計画の策定を行います。目的や目標、スケジュール、予算、人員配置、リスクマネジメントなどを明確にし、スケジュールに沿って進めていきましょう。
4. IT技術習得の教育・トレーニング
IT技術は、単に導入するだけでは高い効果は期待できません。重要なのは、作業員が適切に扱えるようにすることです。そこで、IT技術の活用法やIT技術を導入することで変化する業務プロセス、役割などについて、作業者に対して理解を促すための教育・トレーニングを行います。
5. 効果検証・改善
運用開始後に重要なのは、IT技術導入後に業務にどのような変化が起きているかを評価することです。そこで、運用前と運用後で何が変わり、何が変わっていないのかの検証を行います。その結果に応じて改善すべき点は改善し、さらなる目標達成を目指します。
メンテナンス業務にIT技術を活用する際には
専門のパートナーに依頼するのがおすすめ
メンテナンス業界の人材不足や高齢化により、IT技術導入による効率化や生産性向上が急務となっています。IT技術は日進月歩の勢いで進化を続けているため、メンテナンス業務においても、IT技術の活用により大きな効果が期待できるでしょう。
ただし、IT技術を運用していくには専門的な知識が必要です。専門知識がなければ、IT技術を導入しても逆に手間がかかってしまったり、非効率になってしまったりするケースも少なくありません。自社にそういった知識のある人材がいない場合は、IT技術に長けた専門のパートナーに依頼するのがおすすめです。そこでダイキンでは長年の知識や経験を生かし、遠隔監視や操作を行い、異常時にはお知らせメールを発信するサービス「エアネットサービスシステム」や「アシスネットサービス」を提供しています。
導入から運用に至るまで適切なサポートを行い、安心して多店舗管理を実施できる環境構築をお手伝いします。